毎日の文トレ

日々感じたことや考えたことを書き殴ります。

人間性のバロメーター

ほぼ毎日顔を合わせる友達がいて、そいつは話すのが苦手なタイプの人間だ。

話出す前に毎回咳払いをするし、話すスピードもかなり遅い。

僕なんかは内容の正誤や論理などは気にせずにペラペラと話すタイプの軽率な人間なので、初めてその友達の語りを聞いた時は、少し驚いた。こんなに話すのが下手な人がいるんだな。理学部らしいな。と。

人に話しかける時も、独特の不気味さがある。僕なら、話しかけようと思ったら、そこそこの距離から話しかけようとするのだが、彼はかなり近く、ほぼ真横まで近づいてきたかと思うと、急に咳払いをしてくる。イヤフォンで音楽を聞いているにも関わらずだ。足音もあえて消している節がある。突然背後から咳払いが聞こえたりして、ギョッとした経験も数ある。

 

ただ、話す内容は新しい切り口を提供するものであったり、論理の整合性を正すもの、別の可能性の指摘であったり、いかにも科学者的な考え方に基づいたもので、たまにはいわゆるクソリプ(意味のないツッコミやコメント)みたいなものにもなるのだが、基本的にはきちんとしたことを伝えてくれる。

 

もう二年くらいの付き合いなのだが、最近気づいたことがある。

 

「彼の話にどう反応するかで、自分の心の余裕が測れる」ということである。

 

とっても忙しかったり、疲れていたり、眠かったりする時、彼が近寄ってきて話したそうにしているだけで、イライラしてくるし、話かけられてもふんふんと流してしまうのだが、お酒を飲んでいる時や、朝気分がいい時、何かひと段落して、休憩でもしようとする時は、話しかけられても全く嫌ではなく、むしろこちらから話しかけるくらいなのだ。

これはただ、人に話しかけられるのが嫌なのでは?と思うかもしれないが、そうではない。現に、別の人に話しかけられるなら作業を中断してでも、会話を楽しむ方向にシフトする。

 

この感じはなんなんだろうと思った。つまり、ある物事を楽しめるかどうかは、それ自体の面白さにかかっているのではなく、こちらの捉え方次第なのだということに気づいた。

小林くんの会話だけでなく、これはどんなことにも当てはまるのだろう。なので、面白くないなと思った時は、面白いと捉えれない自分を疑ってみようと考えた。

 

 

ヒッチレース最終章

さて、トラックの運ちゃんに連れられて、コンビニの焼き鳥をもらったりしながら、京都東インターまで乗せてもらい、最後はヤンキーからもらったお金で地下鉄に乗って帰ってきました。ちゃんちゃん。長い旅でしたが、ハプニングあり、熱い友情もあり、なかなかに青春できたと思います。

 

ヒッチレース第5章

さて、ヤンキーに声をかけると意外と好感触。

運転席に座っていた、車内で一番ヒエラルキーが高そうな男が、「俺ら暇だし、面白そうだから、乗せてやるよ」と言ってくれた。車に乗り込むと、思わず笑ってしまった。中の壁紙が全てヴィトン柄だったからだ。典型的な田舎のヤンキーの車である。彼らはとにかく高速の入り口近くで、よく大型バスが止まっているコンビニまで乗せてくれると言う。なんでこんなことしてるの?みたいな会話から、そういえば今何してる人なの?と聞かれたので、「大学生です。京大です。」と答えた。しかし、向こうからの反応は薄い。運転手のヤンキーは「京大?誰か知ってる? すごいの?」と後ろに尋ねる。後ろも、なんか聞いたことある。くらいの返事で、食いつきはなかった。

僕は、嬉しくなった。京大を知らないレベルのヤンキーと今仲良く話して、車に乗せてもらっている。ヒッチハイクすげー。大垣のヤンキーすげー。大学にいては絶対に会えないような人に出会えたことで、とてもテンションが上がった。まあ、そうだよな。京大にいて、京大が何か知らない人なんていない訳である。

 

そのあと、お金は持っていないという話になると、後ろの兄ちゃんから1000円札一枚をもらう。曰く、競馬ブルだとそうで、前の日に一山当てたので、調子乗っているらしい。ありがたくいただく。そういや、何歳なんですか?という話になり、なんと同い年だと発覚した。なんという偶然。すぐにmixiを交換した。知らない人のために言っておくが、mixiは今のFacebookがはやる前に日本で盛んであったSNSである。

 

そんなこんなでコンビニに着くとヤンキーはさらに優しい言葉をかけてくれた。「もし、トラックの運ちゃんが捕まらんかったら、最悪俺らで京都まで送ったるわ。」

もう神か。どんだけ優しいんだ。と感動した。駐車場で京都ナンバーのトラックの運ちゃんに声をかけて回ると、二人目で乗せてくれる人が見つかった。ヤンキーたちに、感謝を伝え、トラックに乗り込む。

 

つづく

RE:RE:RE:ヒッチレース

さて、一般道に降り立ったのだが、同じタイミングで雨がしとしと降り始め、気持ちも暗く落ち込んで行く。

 

近くに車通りのかなり多い交差点があったので、そこでヒッチハイクをすることに決めた。ただ、ドライバーに見せるためのダンボールがボロボロになってしまったため、近くのコンビニに駆け込む。恥を忍んで、「ヒッチハイクに使いたいので、ダンボールをください!」と頼むと、女の店員は苦笑気味で奥からダンボールを引っ張り出してくれた。イートインで、プチ工作をして、ダンボールをいいサイズにカットし、持っていたサインペンで文字を書くも、文字が細すぎて、遠くからだと全然見えない仕上がりになった。さすがにこれではいかんと思い、さらに恥を忍んで、太めのサインペンを貸していただいた。お客さんほぼいなかったから、よかったけど、これは普通に迷惑だ。天気はどんどん悪くなり、雨も本降りに。先ほどいた交差点に戻りヒッチハイクを開始した。

 

車はビュンビュン通るのだけど、一向に止まってくれない。ここで1時間半ほど続けた記憶がある。交差点だったので、4つ角全てで、挑戦したのだが、全く止まってくれない。雨で濡れてる変な男を車に乗せたくないだろうし、高速の入り口近くだったので、止まるにも止まれなかったのだろう。そんなこと、その時は全く気づかなかった。

 

もう十分だと思い、そこから徒歩でいい場所を探そうと動き出した。途中で話しかけた人によると、近くにスーパーがあるということだったので、スーパーの駐車場で、買い物帰りの車を捕まえようと思った。これはなかなか良い作戦だった。相手は車に乗る前なので、しっかりと思いを訴えることができる。ただ、断られた時のダメージも大きくなる。「ほんのちょっとでいいんで、移動させてください」と言い、買い物帰りの子連れ主婦に15分ほど乗せてもらった。

 

そのあとはコンビニで同じ作戦で同じ作戦を繰り返すが、田舎なのでそもそも人が少ないので、なかなか捕まえることができない。確か時間は15時くらいで、雨も降り、心も体も疲れてきていた。これ、今日中に帰れるのかなと焦り始めたのもこの時間帯である。

また一台捕まえて、高速の近くのコンビニまで連れて行ってもらうが、そのコンビニの前には2〜3台の車しか止まっていなかった。もう総当たり戦で声をかけていこうと思い、車を覗き込むと、そこにはヤンキーが3人すっぽりと収まっていた。一瞬ギョッとしたが、引くに引けず、もういいやと半ば自暴自棄になり、声をかけた。

 

つづく

 

 

ヒッチレースつづきのつづき

さて、その老夫婦に車に乗せてもらう。ちょうど関西方面に高速で行くらしい。車の中で、財布も携帯もないという話をすると、コンビニに車を止めて、弁当とおにぎり二つ、ペットボトルのお茶を買ってくれた。これで飯はなんとかなると安心した。數十分走らせると、おじいさんから衝撃な言葉が飛び出した。「次の分岐で僕たちは北陸方面に行くけど、君は関西方面に行くんだよね?どうする?」

え、ちょっと待ってくれ。高速の分岐で降りるなんてことできるのか? 大丈夫なんですか? みたいな会話をしながらも、北陸に行ってしまっては帰れないので、おじいさんの言葉を信じて、途中で降ろしてもらうことにした。そして、僕は高速道路の上に放り出された。

 

しばらく、京都方面と書いたダンボールを掲げていたが、反応して速度をおろしてくれる猛者はいなかった。当たり前なんだけど。このままじゃあ埒が明かないと思っていると、向こうの方から人が手を振って歩いて来た。

 

警備員だった。

 

ものすごい剣幕で怒られた。こんなとこで何してるんですか!! 危ないでしょ!! とりあえず、着いて来てください!と言われ、高速道路から下の道に繋がる階段を降りて行った。下には事務所のような部屋があり、とりあえずそこに座ってと、尋問が始まった。かくかくしかじかで、と企画の趣旨を説明すると、こんなバカもいるんだな。って顔をされた。

 

とにかく解放され、一般道に降り立ったのだが、ここからが大変だった。

 

つづく

ヒッチレースつづき

そのおじさんとの会話はあまり覚えていない。とにかく人の多い駅に行って、そこでヒッチハイクをすればいいという助言をもらった。道なりに歩いていると、交通量がどんどん増えて行って、しまいには渋滞のような状況になっていた。何台かの車に話しかけるが、「ヒッチハイクしてる人初めて見たわー」とか言われ、変な目で見られたり、無視されたりして、しまいには、「名古屋駅ならここまっすぐいけば着きますよ。すぐですよ。」なんて嘘をつかれたりした。

まだ楽観的だったので、ヒッチハイクなんてこんなもんでしょうと思って歩いていると、バス停の前に犬の散歩をしている優しそうな顔をしているおじいさんがいたので、声をかけて見た。かくかくしかじかと、この企画について語ると、面白いと思ってくれたようで、お昼までは用事があるんだけど、それが終わったら、車に乗せてあげるよ。と温かい言葉をかけていただいた。しかも、お昼までは、そのおじいさんの経営している工場で待っててもいいということだった。なんという優しさ。

そのあと、その奥さんが車で迎えに来てくれて、工場へ向かった。小さな町工場という感じで、中の休憩室みたいな場所で、おにぎりや缶コーヒーを頂いた。そんなこんなで、だらだら、うとうとしていると、おじいさんがどこからか帰って来たので、では改めて出発!となった。

 

 

ヒッチハイクでするレース、略してヒッチレース

数年前住んでいた学生寮の企画で「ヒッチレース」というものがあった。紙とペンだけを持たされて、車でどこかに連れて行かれ、降ろされたところからヒッチハイクして寮に帰ってくるというレースだ。ただ、一番早く帰って来た人が優勝ではない。帰ってくるまでの過程をどれだけ楽しめたかどうかというのが判定基準なのである。参加者全員が寮に戻ってくると大宴会が開かれ、そこでレース中の様々な出来事を一人ずつ語っていき、最後に優勝者を決める。僕の寮に関する思い出の中で一番印象に残っている出来事である。

 

確か6月の寮祭期間中の深夜、僕を含め3人を乗せた車が寮を出発した。アイマスクが用意され、外の景色は見ないように言われる。車はどんどん距離を稼いでいく。僕たちは何もできず、ただ車の中でうとうとするだけだった。早朝、周りが少し明るくなって来た頃に、車が止まり、一人が降ろされ、その1時間後くらいにまた一人が降ろされる。車の外がかなり明るくなったタイミングで、僕が降ろされた。じゃあ、頑張って帰って来てね。とだけ軽く言われた。

 

田舎すぎるほど田舎ではないが、コンビニなどはなさそうだった。近くに盛り上がった小さな岡みたいな場所があるので、そこに行ってみると、大きな石碑とその周りにのぼりが立っていた。石碑を見てみると、「関ヶ原古戦場」と記されていた。なるほど。関ヶ原か。と思ったが、脳内マップには全くピンは立たなかった。とにかく歩いてみるしかないと思い、古戦場はほどほどにして、辺りを散策した。とりあえず大きな道路に出ようと15分程度歩く。まだまだこの企画は始まったばかりで、高揚感を感じていた。しばらく歩くと、車がちらほら走っている道路に出た。その道を散歩しているおじさんに「京都へ行きたいんですけど、どう行ったらいいですかね。」と声をかけた。

 

つづく

朝と晩に椅子を動かして6000円

大学のオーケストラに所属していたので、近くのコンサートホールで派遣バイトをすることがあった。

毎年、秋に海外からオーケストラが来ると、バイト斡旋の連絡が回って来る。舞台バイトの仕事ということだったので、ステージマネージャーに指示を受けながら、舞台上の椅子や譜面台をセッティングするのを想像していたのだが、当日の朝、偉いおじさんに言われたのが、「今日は椅子を動かすだけね。」ということだった。

客席の一箇所を車椅子席にするため、床と椅子を固定するネジを外し、転がして倉庫に持って行くだけの仕事だった。午前中に、椅子を外して倉庫へしまい、公演終了後、倉庫から椅子を出して、元あった位置に固定し直すだけの仕事だった。それでお給料は午前と午後で3000円ずつ、計6000円だった。楽ちんすぎる仕事だった。

これには訳があって、海外オケだろうと、客席の椅子を勝手に動かすことはできないルールになっていて、その際にはコンサートホールから人員を雇わないといけないそうだ。なんともせこいルールである。ただ、地域の小さな公民館にもこういったせせこましい規則はよくあって、ちょっと何かを動かしてもらうだけで、人員一人追加して27000円くらい取られた。

ただ、最近ではコンサートホール側も、20分くらいに3000円払うのがもったいないと思ったようで、椅子を動かした後、搬入口に入って、楽器をステージ上に持って入ったり、別の公演のための仕込み作業を手伝ったりさせられるようになった。それでも2時間くらいのバイトだったので、貧乏学生にとっては充分だった。

 

6月のベストフード

せっかく夜な夜な飲み歩いたりしているので、こんな風にまとめるのもいいかなと思った。今月のベストフードということで、六月に食べて美味しかったもの単品で紹介しようと思う。評価基準は、食べた時の驚きです。

 

ホソ焼き(アジェ/松原)6月6日

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これは、京都ではかなり有名なアジェという焼肉屋で食べた時の写真。内装は韓国の焼肉屋のような感じではあるが、非常に活気にあふれていた。壁にかけられた短冊から選んで注文し、テーブルの上のコンロで焼くスタイル。このホソというホルモン、しっかり目に焼いて、口の中に放り込むと、ジュワッとまろやかに溶け出して、最高な口体験ができる。年寄りには油っぽくてキツイのかもしれないが、僕の年なら何個でも食べれると思った。これだけを食べに再訪してもいい。

 

燻りがっこクリームチーズのせ(またもや/三条木屋町)6月14日

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これは、三条木屋町といっていいのか、先斗町を出たところにある日本酒バーで撮った写真。ずんどう屋というラーメン屋の上にあるお店。雰囲気が素晴らしく、ソファーがふかふかなので、飲み歩きの最後の行くには持ってつけの場所。ただ、日本酒は高めな設定なので、ガブガブ飲む場所ではない。そこで出てきたのがこの、燻りがっこクリームチーズのせである。燻りがっことは、塩辛い沢庵をしっかりとスモークしたもので、日本酒にとてつもなく相性が良い。さらにクリームチーズも乗っているものだから、最高のアテである。鯖のへしこに並んで、日本酒を盗んでくるフードである。

 

特選ロースカツ定食(やまなか/河原町丸太町)6月25日

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これは、大学に入った時から行きたいと思いつつも、敷居が高そうでチャレンジできなかったお店。お店の前に金色の豚の置物が置いてある。二条河原町を北に上ったところにある、とんかつ処やまなかというお店。特選ロースとなるとやはりそこそこな価格はするのだけども、それ相応、むしろそれを超えてくるくらいの美味しさである。肉はなんとか産のもち豚を使っているそうで、注文が入るたびに油を新しくして揚げてくれる。しっかりとした歯ごたえで、肉の旨味がジュワーっと広がり、ああ、うまい肉を食べているなあという気分にさせてくれる。さらに、香り立つお米も美味しいので、すぐに食べ終わってしまって、悲しい気分になった。

 

カヌレカヌレ/二条河原町)6月25日

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これも昔から行きたかったが、タイミングを逃して行けなかったお店。二条河原町の交差点の北西にあるビルに入っている、カヌレというカヌレのお店。名に恥じないクオリティー。外はキャラメリゼされていてパリッとした食感なのだけど、中はしっとりジュワッとしたスポンジが入っている。コーヒーと共に食したが、これはワインやウイスキーにも合うだろうな。お店の雰囲気も抜群で、二人がけのソファーからはミニ夜景が見えたり、カウンターもおしゃれで、行った時はおしゃれな30歳くらいの男と、綺麗な女の人が座っていた。「カヌレ食べない?」と軽く誘って、一緒にお酒を飲んじゃうやり方もできそう。遅くまでやっているので、三条あたりで飲んだ後、落ち着きにくるには最高のロケーションである。

 

 

というわけで、以上。来月もまとめてみたい。

 

発掘ワークショップ

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ちょうど一年前の今くらいの時期に、ジョージア(昔はグルジアと呼ばれていました)という国で開かれた古人類学ワークショップに一ヶ月間参加しました。

 

一日の流れを軽く説明します。まず、朝8時に旧ソ連の軍用トラックに乗り込みドナドナ状態で発掘サイトに向かいます。つい最近ジョージア旧ソ連から独立したので、国中に旧ソの残り物があるのです。ちなみに、このトラックはオイル漏れのせいで、非人道的な匂いがして、朝からブルーな気分になります。

 

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発掘サイトに着くと、ラテンノリの陽気なおばちゃんからその日の担当区分が割り当てられ、その場所を数センチずつ均等に削っていくという単調な作業です。カナヅチで土をトントンと叩いて、骨のようなものが出てきたら慎重に周りの土を削り、その骨を浮かし彫りにするイメージです。毎日この作業をしているので、右手だけがマッチョになりました。

 

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途中、ランチ休憩(パンとハムとトマトとキュウリ)を挟み、16時まで発掘を続けます。発掘が終わると、再びドナドナ状態でキャンプに戻り、一旦シャワーを浴びて、18時から人類学関連分野の講義を受けます。一括りに人類学と言っても、形態人類学、骨学、古人類学、歴史学、地質学、保全学、考古学など様々な学問が関わってきます。この発掘サイトに関わっている教授陣がリレー講義をしてくれました。「旧人類の石器を作ってみよう!」というワークショップもあり、随分と楽しめました。

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講義が終わった後、夜ご飯を食べたら、24時までは自由な時間です。ジョージアはワイン発祥の地でもあるので、後半になると毎晩、白ワインかチャチャという葡萄蒸留酒(イタリアのグラッパみたいな物)を飲みながら、ジョージアの政治の話や発掘よもやま話など様々なテーマで語らいました。ちなみに、日本では飲み会の〆はラーメンと相場が決まっているように、ここではケバブサンドを〆に作って食べます。f:id:AlexanDer:20170701194355j:plain

こんな具合で一日が終わり、次の日の朝にはドナドナと発掘サイトに向かう一ヶ月でした。同じ参加者であるアメリカ人、イギリス人、オーストラリア人、ブラジル人、アフリカ人、ジョージア人に囲まれ、オールイングリッシュで過ごしましたが、今までの人生でこれほどまでに英語を勉強してよかったと思うことはなかったです。

 

さて、空港でクーデターに巻き込まれるリアルに恐ろしい事件や、キャンプからブラジル人が逃げ出したりする珍騒動など様々なことがありました。まだまだ語りきれないですが、とりあえずはここまでにします。

育ちの良い人

新幹線で東京から京都へ向かっていた時の話。

土曜の昼下がりで混雑はしていたが、自由席のアルファベットDEの窓側に座っていた。富士山が見える方の席である。就活で何度も新幹線に乗っているため、富士山が見えるからといって、昔のようには喜べないようになってしまった。ああ、富士山が見えるんだ。くらいのテンションである。

 

品川駅に到着すると、ドバーッと乗客が入ってきて、周りの席がどんどん埋まっていく。おっさんとかが横に座ってきたら、気分のいいものじゃないなと思っていると、抜群に可愛い女の子が横に座ってきた。ぱっと見20も行ってないくらいで、モデルのようにほっそりした手足、整った顔面のパーツ、シンプルだが決して田舎臭くはない服装をしていた。いつもみたいに汚いおっさんが座ってくると思い込んでいたので、突然の美人の到着に緊張しつつも、大したことはないぞというそぶりで大人しくスマホをいじったり、読書をしたりしていた。

 

暫くたつと、女の子がこっちをやたらとチラチラ見てくることに気づいた。最初、知り合いか何かかと思ったが、そうではなく、次に、こっちに気があるのかなと思ったが、そうでもなく、窓の外の景色に興味があるようだ。どうやら新幹線初心者のようである。いやー、微笑ましいなーとか思って見守っていると、その子は通りかかった車掌さんを呼び止め、こう言った。「すみません。富士山はいつ頃見えますか。」

 

こんな純粋な質問をする女の子が他にいるだろうか。普通の女の子となら、疑問に思った瞬間にグーグル先生に聞いておしまいにするところを、わざわざ車掌さんに聞くところが、ピュアすぎる。今まで人間の汚い部分を見たことがないのだろう。そして、そんな女の子が初めて富士山を見る瞬間に立ち会えるということ。僕は心が躍った。

 

後10分くらいで見えると言われた女の子がしきりに窓の外を眺めるので、僕は思い切って声をかけた。

「席代わりましょうか?」

「大丈夫です。向こうで見ますので」と言って、デッキの方を指差した。

「なら大丈夫ですけど。」

 

新幹線が三島駅に近づいた頃、その子も席を立ち、大きめのスマホを持ってデッキへと歩いていった。そこまで来ると僕も富士山をがっつり見てやろうという気分になって、窓の外をしっかりと眺めていた。富士山がぼんやりと見えてきたのだが、曇り空で、綺麗な裾は隠れてしまって、頂上の一部しかはっきりと確認できなかった。あれだけ楽しそうにしていたのになと、少しブルーな気持ちになっていたところ、その子が戻ってきた。

「写真撮れました?」

「頂上しか映りませんでした」

「曇ってて残念でしたね」

「いえいえ、見れただけでも良かったです。」

こんな会話をしながら、新幹線はどんどん西に向かっていった。

 

間も無く京都駅だというアナウンスで、周りの乗客がぞわぞわし始め、彼女もすっと立ち上がり、荷物棚から大きなカバンを取り出した。そして、急に満面の笑みになったかと思うと、こちらに向かって、「お席の御気遣い頂きありがとうございました。」とスッキリとした声で言い放った。僕はびっくりしてしまった。こんな丁寧な言葉遣いができるのか!と思って、とても感動して、育ちの良さにガツンと当てられてしまった。この子はこれからどういう人間になるのかは分からないが、幸せな人生を歩んでいくに違いないと確信した。

 

ああ、名前だけでも聞いていたらなあ。

 

 

 

 

ネタ帳(6月29日更新)

・富士山を一合目から自転車で

・今月のベストフード

・舞台コンパ

・ヒッチレース

・クーデター体験記@イスタンブール

・6000円のアレキサンダー

・ねずみどしの年賀状

・英語の勉強

・夜逃げられ体験記

・ケーキとファミコン

・医者のドラ息子

・小学生の朝活

・サシ飲み事件

ツイッターでの失敗

・オーケストラの大失敗

・イタリアンバルバイト

・ホテル配膳バイト

・コンサートホール舞台設営バイト

・草刈りと生け垣整備バイト

・ピザ窯制作

ヌートリアおじさん

今日はヌートリアおじさんの話をしようと思う。

 

ある夏、鴨川を深夜に散策していた。彼女と深夜の鴨川は涼しいし、ひっそりしていていいね。みたいな話をしていた。出町柳駅のすぐ横にある加茂大橋の北あたりにあるベンチにおじさんが座っていた。こんな時間に何をしてるんだろうと思って、少しスピードを落としつつ通り過ぎようとすると、向こうから話しかけられた。

「なあ、そこのコンビニで食パン買ってきてくれへんか」

「え、いいですけど、なんでですか?」

ヌートリアに毎晩餌あげてんねん」

 

ヌートリアと言うと最近鴨川に住み着いた外来生物で、駆除の対象になっている。そんな動物を餌付けするなんて。と生物学をかじった学生ながらに思ってしまったが、面白そうなので近くのコンビニまで食パンを買いに行った。ファミマの安っぽい食パンをおじさんに渡すと、「見とけよ」というセリフと共におじさんはベンチから立ち上がり、口笛を吹き始めた。フィヨフィヨフィヨフィヨ。と言った感じだ。口笛を吹き始めてから20秒後くらい、川の方がバチャバチャと騒がしくなってきた。すると、中から大小のヌートリアが5匹くらい現れ、岸を登ってきた。おじさんは食パンを小さくちぎり、自分の足元に投げた。ヌートリアの子供がそれめがけて、おじさんの足元でちょろちょろと踊り出す。ヌートリアは見かけは大きめなネズミなので、尻尾が月夜に照らされてテロテロと光っているのが相当気持ち悪かった。

 

「なんでこんなことやってるんですか?」

「俺はな、昔は普通に働いてたんやけど、仕事が嫌で鬱になって、やめてもうたんや。そんで、毎晩酒を飲むようになったんやけど、心は全然回復せんかってん。ある時、鴨川でヌートリアを見かけて、めっちゃ癒されたんや。だから、毎晩ここに来てヌートリアに癒してもらってんねん。俺が餌あげてること誰にも言ったらあかんで。」

「なるほど・・・(これはあまり踏み込んだらあかんやつや・・」

 

と言う会話をして、ヌートリアを堪能し、僕たちは解散した。おじさんに話すなと釘を刺されていたが、この話は鴨川のヌートリアの話になると、必ずしている。ただ、感想として、「ほんまなん、それ」「嘘やろ」「そのおじさんがお前っていうオチなのでは」「そもそも、普段から嘘か本当か分からん話ばっかりするから、信ぴょう性がない」と全く取り合ってくれない。

 

これ、ほんまの話なんすよ。

 

 

奢られ待ちのババア

「奢られ待ちのババアは、木屋町の癌」

 

僕がよく行く三条のバーのマスターがこう言っていた。その直前、立ち飲み屋でそのババアに絡まれた。土曜の夜、友達と映画を観た帰り、木屋町の安い立ち飲み屋で飲んでいた。戦争映画を観たのだけど、描写がリアル過ぎて、少々げんなりしながらも、楽しい感じになってきた矢先だった。お店に入ってきた泥酔した女性(35くらい)が僕らに絡んできた。「その話面白いですねえ(ヘラヘラ)」と言った感じだ。酔っ払いの相手は慣れているので、いい感じにいなしながら、年上なので褒めながらも、時々ディスりながらもコミュニケーションを取った。こう言う年頃の女性(男性もだが)は、ツッコミをしてくれる年下の男には弱い。その女性は入った瞬間に、そこらへんにいたおじさんたちに酒を奢られていた(これも木屋町の悪いところ。ババア需要がある。)が、もう一杯飲みたいと言う。じゃあ、払ってきてくださいね。と言うと財布を持ってカウンターへ行くのだが、財布の中身はほぼゼロ。1000円札もない。ローソンのレシートを出そうとするので、バカかと思いつつも、仕方ないなあという気持ちで、400円出してあげた。絡まれつつも、いい感じになったので、ぼちぼち帰るかぁとなった。そのままで奢りっぱなしで帰るのもなんとなく口惜しかったので、「年下に奢ってもらって、大丈夫なんですか?」と言った。泥酔した女性は、申し訳ないと言いながら金を出そうとするが、もちろん金はない。「ないじゃないですか」と言うと、銀行にはあるの。と言う。「じゃあ、ATMで下ろしてくださいよ。コンビニまで連れて行くし。」と伝えると、分かったと言って、店の外にでた。僕は、その泥酔女性を近くのコンビニに連れていった。ATMにカードを入れるも、入れる方向が間違っているので、なんども吐き出される。見かねた僕は、こう入れるんですよ。とカードをATMに突っ込んだ。ここで降ろさせたら、金額をふっかけれるのでは、お小遣いをもらえるのでは、と言う淡い期待もあった。いや、淡くない。確信していた。それくらいの交渉はできる。なんせ、相手は泥酔しているし。ただ、ATMは無情にも営業時間外で、取り扱いできないと表示された。仕方なく、立ち飲み屋に戻って、カバンを回収して解散した。そのあと、一人でバーに行き、お酒を二杯飲んで、ますたーに冒頭のセリフを頂いた。「奢られ待ちのババアは木屋町の癌」確かにそうかもなあと思いつつ、深夜2時の木屋町をフラフラしていると、酔っ払ってテンション上がった頭の悪そうな女の子二人組が歩いていたりして、楽しい予感がしたが、そのまま家に帰った。

 

次の日、冷静になって考えた。もし、ATMでお金を降ろさせていたら、軽犯罪めいたことになっていただろう。ATM止まっててよかった。

 

可能性のカタマリのような昨晩の騒動の話でした。

女子グループの謎

先日、友達と話していて、「なぜ女子は同じくらいの顔面偏差値の女子とつるむのか」という話題になった。

 

これはよく言われている話で、「可愛い女の子の友達は可愛い」というのも、元はと言えば同じ問題である。高校のクラスで生じる女子グループも大体は顔面偏差値でソートすることができる。もちろん例外はあるが。

直感的に浮かんだ考えとして、人間という生き物は基本的に顔で判断されることが多いので、顔面偏差値が近いと、人からの接され方も似てきて、人生経験が似てくる。その結果として話が合うので、仲良くなりやすいのではないか。と思った。その時は、そうなのかもしれないね。となった。

 

そのあと、あんまり腑に落ちないので、少し調べてみると、「なぜ犬はその飼い主に似るのか」という記事があり読んでみた。

www.huffingtonpost.jp

 

かんたんに言うと、犬と飼い主は似てくるのではなく、ペットショップで犬を選んだ時に、すでに自分の顔(特に目)に似ている犬を選ぶらしい。さらに、その理由として、単純接触効果という、普段からよく見たりするものに好意を示すという心理学的な現象の影響で、ペットショップで自分の目に似た目を持つ犬に好意を抱き、その犬を飼うことに決めるそうだ。

 

これと同じことが、さっきの女子グループでも言えないだろうか。人の顔の特徴のほとんどは目によって決まるだろう。それは、人が他人の顔のどこを注視するかを考えれば自明である。そうなると、自分の目に似た目を持つ女の子、言い換えれば、顔面偏差値が近い女の子に好意を示し、友達になる。と考えるのは、説得力のあるロジックだと思う。

 

こうやって、冒頭の謎がスルスルっと解けたので、非常に気持ちよかった。