毎日の文トレ

日々感じたことや考えたことを書き殴ります。

ハトムギ化粧水とニベアクリーム

今回は、美容の話。

 

以前、広告会社のインターンに行った時、若い女性の化粧品について調べる機会があった。

最近の女子は、デパートコスメのような高い化粧品には興味がなく、韓国コスメやプチプラと言われるお手頃な価格の商品、成分がシンプルな化粧品が流行っているらしい。

 

なんとも、成分がリッチすぎると肌がそれに慣れてしまって、逆によくないという、まやかしのような(ただ、彼女らは本気で信じている)説明で、シンプル志向に行っているらしい。

 

そこで紹介されたのが、ハトムギ化粧水という、言っちゃ悪いが、見た目もやすそーな化粧水だった。まあ、半信半疑で、物は試しだと思い、すぐに薬局に行って買った。

 

使い始めると、もうはまってしまった。やっすいチープなボトルからびしゃびしゃと化粧水を手にぶちまけて、顔に叩きつける快感から逃れられない。

 

数日後、化粧水を馴染ませた後に、ニベアの青缶を塗ると超いいと聞いたので、また薬局(ダイコクドラッグ)で買ってきた。

 

それがまたまたすごいのなんの。高校生の頃から、肌荒れとかニキビの跡とかが割と気になっていたんだけど、それがどんどん綺麗になってきた。

 

ただ、ガンガン飲酒して、脂っこいスナックを食べた夜に、風呂にも入らずノーケアで寝たりすると、次の日また荒れていたりするので、自分の中で一進一退の攻防を繰り広げているのだ。いや、ダメなんだけどね。

 

そして今、夏になって、ニベアのクリームだとベタつきが気になってきた。どうしたらいいんだろう。なんかいい化粧品ないかな。

 

以上

酒処てらやま@先斗町

貧乏学生が無理をして奨学金で美味しいご飯を食べるシリーズです。

 

酒処てらやまという割烹料理屋行ってきました。ノイリーズというバーのマスターから、このお店は大ブレーク必至らしく、数年後には予約が取れなくなるだろうと聞いたので4人(学生二人社会人二人)で行ってきました。メニューに価格が書いていないので、お会計をしたのですが、一人1樋口程度でした。腹9分くらいまで食べて、ビール、日本酒、レモンサワーを飲んでこの価格なら、かなりお手頃と言っても良いでしょう。金銭感覚がおかしい訳ではないですよ。変な飲み会を2回キャンセルすれば十分に手が届きます。

 

そんなこと言いながら、このお店を出て、カフェに行き、居酒屋に入り、レゲエを聞いてさらに一杯、クラブで数杯、鴨川で外国人に混ざって飲み会をしたので、やっぱり感覚がおかしいなと反省しています。この日で1万円くらい使ったことになりますね。そんな具合なので、最近はもっぱらパスタやらラーメンやらを自炊しています。さっき作ったラーメン、意外と美味しかったですよ。韓国のカムジャタンというジャガイモで作られた麺の上に、小さめの玉ねぎとナスとシーチキンとキムチをごま油で炒めたものを乗せただけのもの。ラー油かけて食べると、アジアな風味がして気に入りました。

 

さて、本題のてらやまで食べたものを軽く紹介しようと思います。

 

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看板です。先斗町を横に入った薄暗いところにお店はありました。

 

 

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ビールは札幌の赤星です。とりあえずビールで出発しました。

 

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これは最後に飲んだレモンサワーです。広島のレモンを使っているようで、さっぱりとして上品な味でした。ちなみに甘めも選べました。

 

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最初に頼んだポテトサラダです。上にナッツ(種類は忘れてしまった)が乗っていて、ビールによく合います。それ以外はシンプルな味付けです。

 

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実は岩ガキのシーズンでもあります。女の子の靴くらいの大きさの牡蠣が出てきたときはびっくりしました。大根おろしと合わせて食べると、口の中が夏!海!になります。カウンターにはレモスコというレモンのタバスコがおいてあるので、かけて食べればもっと夏を感じられたでしょう。。。。そうです。かけ忘れました。

 

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夏の日本酒も頼みました。ナツクラブと読みます。クラブへの布石だった訳ですね。

 

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頼んでいたものが続々と出てきます。これは鰹のタタキ。からしは思った以上に合っていました。口触りが柔らかで、溶けて行きます。こんな上品なカツオのタタキは食べたことありませんでした。

 

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タコとオクラの煮込みです。一切れがデカかったです。タコ単体でも美味しいのですが、オクラと一緒に食べると、不思議な味わいになりました。これは驚いた。

 

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ミョウガと和牛のたたきです。肉が美味しいのは、いいですよね。割烹料理屋ってお腹いっぱいにはなれないイメージがあったので、ここで覆りました。さっぱりしているけど、味わい深い美味しさでした。ここでもまたミョウガによって夏!を感じました。季節感を丸ごと感じられるのが、割烹の良さなのでしょうな。

 

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これはベーシックなだし巻きです。もうプルンプルン。しかもかなりの分厚さでしたね。

 

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玉川、こんなおしゃれなパッケージになりやがって・・・

 

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まだまだ、〆には行かず、おでんを頼みました。冬に来てもう一度注文したい。友達が頼んだ、マロニーもよかったです。注文したらマロニーを作ってくれるのですが、出汁のうまいことうまいこと。

 

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黒どりのモモ焼きです。ね、上の方黒いでしょ。柚子胡椒も季節感演出してくれます。もう、この時には腹8分んめ。そろそろお会計も怖いし、出ようかなと思っていたら、横の友達がさらに注文しました。

 

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はい。これが名物でしょう。〆のサンドイッチです。これはうまかったな〜。美味しいサンドイッチの特徴全部掴んでるでしょう。全部が何かは知らないですけど。パンの表面はカリカリで、しっかり水分が抜けてます。中身はしっかりした肉。これ単体でも絶対美味しいですよ。そして、カラシをしっかり効かせてます。作る前にカラシを効かせるかどうか確認してくれる気の配りようです。切り取ったパンの耳は、野菜スティックみたいにして、ソースをつけて出してくれました。

 

いやー美味しかった。食から季節を感じるという大人の嗜みが理解できたような気がします。次は冬ですね。

 

以上です。

恐怖の年賀状

高校生の頃、毎年送っている年賀状に飽き、工夫してやろうと思った。その時は子年だったので、面白くネズミの絵が描けたらいいなと思って、たどり着いたのは、人差し指に墨汁をつけて、その指紋でネズミを書くことだった。確か10枚くらい作成した記憶がある。年始に友達の家にその年賀状が届いたのだが、友達だけでなくその親にとっても衝撃的だったらしい。それがこの写真である。これは恐怖の年賀状としか言いようがない。こんなのが送られてきたら、さすがに冷静ではいられないはずだ。頭の左右に飛び出た部分でかろうじてネズミと分かるが、ネズミにしては、アンニュイな表情が憎い。ゆるい動きが感じられるのアンニュイな表情と合間って、いい味を出している。やるんなら高校三年間ずっとやればよかったな〜。

 

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気の利く男

僕の高校は荒れていたので、よく殴り合いの喧嘩が行われていた。

文化祭で発表するダンスの練習を一部の男子がふてくされながらやっていたところ、キレやすい友達が、謎の正義感を発揮して殴りにかかった。殴られた方の男子は、韓流スター気取りの細身でなかなかにかっこいい奴だった。殴った方は、親が暴力団関係者だとか噂が流れるくらいのいかつい男で、普段は温厚なのだが、何か気にくわないところがあると、すぐに暴力を振るうような奴だった。ある時、そいつが履いている靴を褒めたら、喧嘩を売っているのと勘違いしたらしく、二発くらい殴られたのを覚えている。

 

話を戻すと、その暴力男が韓流男を殴り、思いっきり太ももを蹴り上げ、ダンスの練習に集まった30人くらいがアタフタした瞬間のことだった。喧嘩に気づいた数学の教師がその間にスッと入り込み、「落ち着け落ち着け〜」と言いながらコミカルな振り付けで踊り始めた。声がちょっと震えていたので、軽い緊張は伝わってきたのだが、効果はテキメン。一瞬でギスギスした空気が吹き飛んだ。喧嘩に関わった奴らはすぐに解散させられ、ダンスの練習は続けられた。

 

この時、僕は「気が効く男ってこういう人のことをいうんやな」と思った。声には出されていないのだけれども、誰かが何かを必要といて、瞬時に察知して、それを提供することができる。変なプライドも持っていない。その先生は、授業中に自分はモテるとは言っていたけども、この一件で、確かにそうなんだろうなと納得した。

 

かっこ悪いけど、かっこよかったな。

 

 

 

人間性のバロメーター

ほぼ毎日顔を合わせる友達がいて、そいつは話すのが苦手なタイプの人間だ。

話出す前に毎回咳払いをするし、話すスピードもかなり遅い。

僕なんかは内容の正誤や論理などは気にせずにペラペラと話すタイプの軽率な人間なので、初めてその友達の語りを聞いた時は、少し驚いた。こんなに話すのが下手な人がいるんだな。理学部らしいな。と。

人に話しかける時も、独特の不気味さがある。僕なら、話しかけようと思ったら、そこそこの距離から話しかけようとするのだが、彼はかなり近く、ほぼ真横まで近づいてきたかと思うと、急に咳払いをしてくる。イヤフォンで音楽を聞いているにも関わらずだ。足音もあえて消している節がある。突然背後から咳払いが聞こえたりして、ギョッとした経験も数ある。

 

ただ、話す内容は新しい切り口を提供するものであったり、論理の整合性を正すもの、別の可能性の指摘であったり、いかにも科学者的な考え方に基づいたもので、たまにはいわゆるクソリプ(意味のないツッコミやコメント)みたいなものにもなるのだが、基本的にはきちんとしたことを伝えてくれる。

 

もう二年くらいの付き合いなのだが、最近気づいたことがある。

 

「彼の話にどう反応するかで、自分の心の余裕が測れる」ということである。

 

とっても忙しかったり、疲れていたり、眠かったりする時、彼が近寄ってきて話したそうにしているだけで、イライラしてくるし、話かけられてもふんふんと流してしまうのだが、お酒を飲んでいる時や、朝気分がいい時、何かひと段落して、休憩でもしようとする時は、話しかけられても全く嫌ではなく、むしろこちらから話しかけるくらいなのだ。

これはただ、人に話しかけられるのが嫌なのでは?と思うかもしれないが、そうではない。現に、別の人に話しかけられるなら作業を中断してでも、会話を楽しむ方向にシフトする。

 

この感じはなんなんだろうと思った。つまり、ある物事を楽しめるかどうかは、それ自体の面白さにかかっているのではなく、こちらの捉え方次第なのだということに気づいた。

小林くんの会話だけでなく、これはどんなことにも当てはまるのだろう。なので、面白くないなと思った時は、面白いと捉えれない自分を疑ってみようと考えた。

 

 

ヒッチレース最終章

さて、トラックの運ちゃんに連れられて、コンビニの焼き鳥をもらったりしながら、京都東インターまで乗せてもらい、最後はヤンキーからもらったお金で地下鉄に乗って帰ってきました。ちゃんちゃん。長い旅でしたが、ハプニングあり、熱い友情もあり、なかなかに青春できたと思います。

 

ヒッチレース第5章

さて、ヤンキーに声をかけると意外と好感触。

運転席に座っていた、車内で一番ヒエラルキーが高そうな男が、「俺ら暇だし、面白そうだから、乗せてやるよ」と言ってくれた。車に乗り込むと、思わず笑ってしまった。中の壁紙が全てヴィトン柄だったからだ。典型的な田舎のヤンキーの車である。彼らはとにかく高速の入り口近くで、よく大型バスが止まっているコンビニまで乗せてくれると言う。なんでこんなことしてるの?みたいな会話から、そういえば今何してる人なの?と聞かれたので、「大学生です。京大です。」と答えた。しかし、向こうからの反応は薄い。運転手のヤンキーは「京大?誰か知ってる? すごいの?」と後ろに尋ねる。後ろも、なんか聞いたことある。くらいの返事で、食いつきはなかった。

僕は、嬉しくなった。京大を知らないレベルのヤンキーと今仲良く話して、車に乗せてもらっている。ヒッチハイクすげー。大垣のヤンキーすげー。大学にいては絶対に会えないような人に出会えたことで、とてもテンションが上がった。まあ、そうだよな。京大にいて、京大が何か知らない人なんていない訳である。

 

そのあと、お金は持っていないという話になると、後ろの兄ちゃんから1000円札一枚をもらう。曰く、競馬ブルだとそうで、前の日に一山当てたので、調子乗っているらしい。ありがたくいただく。そういや、何歳なんですか?という話になり、なんと同い年だと発覚した。なんという偶然。すぐにmixiを交換した。知らない人のために言っておくが、mixiは今のFacebookがはやる前に日本で盛んであったSNSである。

 

そんなこんなでコンビニに着くとヤンキーはさらに優しい言葉をかけてくれた。「もし、トラックの運ちゃんが捕まらんかったら、最悪俺らで京都まで送ったるわ。」

もう神か。どんだけ優しいんだ。と感動した。駐車場で京都ナンバーのトラックの運ちゃんに声をかけて回ると、二人目で乗せてくれる人が見つかった。ヤンキーたちに、感謝を伝え、トラックに乗り込む。

 

つづく

RE:RE:RE:ヒッチレース

さて、一般道に降り立ったのだが、同じタイミングで雨がしとしと降り始め、気持ちも暗く落ち込んで行く。

 

近くに車通りのかなり多い交差点があったので、そこでヒッチハイクをすることに決めた。ただ、ドライバーに見せるためのダンボールがボロボロになってしまったため、近くのコンビニに駆け込む。恥を忍んで、「ヒッチハイクに使いたいので、ダンボールをください!」と頼むと、女の店員は苦笑気味で奥からダンボールを引っ張り出してくれた。イートインで、プチ工作をして、ダンボールをいいサイズにカットし、持っていたサインペンで文字を書くも、文字が細すぎて、遠くからだと全然見えない仕上がりになった。さすがにこれではいかんと思い、さらに恥を忍んで、太めのサインペンを貸していただいた。お客さんほぼいなかったから、よかったけど、これは普通に迷惑だ。天気はどんどん悪くなり、雨も本降りに。先ほどいた交差点に戻りヒッチハイクを開始した。

 

車はビュンビュン通るのだけど、一向に止まってくれない。ここで1時間半ほど続けた記憶がある。交差点だったので、4つ角全てで、挑戦したのだが、全く止まってくれない。雨で濡れてる変な男を車に乗せたくないだろうし、高速の入り口近くだったので、止まるにも止まれなかったのだろう。そんなこと、その時は全く気づかなかった。

 

もう十分だと思い、そこから徒歩でいい場所を探そうと動き出した。途中で話しかけた人によると、近くにスーパーがあるということだったので、スーパーの駐車場で、買い物帰りの車を捕まえようと思った。これはなかなか良い作戦だった。相手は車に乗る前なので、しっかりと思いを訴えることができる。ただ、断られた時のダメージも大きくなる。「ほんのちょっとでいいんで、移動させてください」と言い、買い物帰りの子連れ主婦に15分ほど乗せてもらった。

 

そのあとはコンビニで同じ作戦で同じ作戦を繰り返すが、田舎なのでそもそも人が少ないので、なかなか捕まえることができない。確か時間は15時くらいで、雨も降り、心も体も疲れてきていた。これ、今日中に帰れるのかなと焦り始めたのもこの時間帯である。

また一台捕まえて、高速の近くのコンビニまで連れて行ってもらうが、そのコンビニの前には2〜3台の車しか止まっていなかった。もう総当たり戦で声をかけていこうと思い、車を覗き込むと、そこにはヤンキーが3人すっぽりと収まっていた。一瞬ギョッとしたが、引くに引けず、もういいやと半ば自暴自棄になり、声をかけた。

 

つづく

 

 

ヒッチレースつづきのつづき

さて、その老夫婦に車に乗せてもらう。ちょうど関西方面に高速で行くらしい。車の中で、財布も携帯もないという話をすると、コンビニに車を止めて、弁当とおにぎり二つ、ペットボトルのお茶を買ってくれた。これで飯はなんとかなると安心した。數十分走らせると、おじいさんから衝撃な言葉が飛び出した。「次の分岐で僕たちは北陸方面に行くけど、君は関西方面に行くんだよね?どうする?」

え、ちょっと待ってくれ。高速の分岐で降りるなんてことできるのか? 大丈夫なんですか? みたいな会話をしながらも、北陸に行ってしまっては帰れないので、おじいさんの言葉を信じて、途中で降ろしてもらうことにした。そして、僕は高速道路の上に放り出された。

 

しばらく、京都方面と書いたダンボールを掲げていたが、反応して速度をおろしてくれる猛者はいなかった。当たり前なんだけど。このままじゃあ埒が明かないと思っていると、向こうの方から人が手を振って歩いて来た。

 

警備員だった。

 

ものすごい剣幕で怒られた。こんなとこで何してるんですか!! 危ないでしょ!! とりあえず、着いて来てください!と言われ、高速道路から下の道に繋がる階段を降りて行った。下には事務所のような部屋があり、とりあえずそこに座ってと、尋問が始まった。かくかくしかじかで、と企画の趣旨を説明すると、こんなバカもいるんだな。って顔をされた。

 

とにかく解放され、一般道に降り立ったのだが、ここからが大変だった。

 

つづく

ヒッチレースつづき

そのおじさんとの会話はあまり覚えていない。とにかく人の多い駅に行って、そこでヒッチハイクをすればいいという助言をもらった。道なりに歩いていると、交通量がどんどん増えて行って、しまいには渋滞のような状況になっていた。何台かの車に話しかけるが、「ヒッチハイクしてる人初めて見たわー」とか言われ、変な目で見られたり、無視されたりして、しまいには、「名古屋駅ならここまっすぐいけば着きますよ。すぐですよ。」なんて嘘をつかれたりした。

まだ楽観的だったので、ヒッチハイクなんてこんなもんでしょうと思って歩いていると、バス停の前に犬の散歩をしている優しそうな顔をしているおじいさんがいたので、声をかけて見た。かくかくしかじかと、この企画について語ると、面白いと思ってくれたようで、お昼までは用事があるんだけど、それが終わったら、車に乗せてあげるよ。と温かい言葉をかけていただいた。しかも、お昼までは、そのおじいさんの経営している工場で待っててもいいということだった。なんという優しさ。

そのあと、その奥さんが車で迎えに来てくれて、工場へ向かった。小さな町工場という感じで、中の休憩室みたいな場所で、おにぎりや缶コーヒーを頂いた。そんなこんなで、だらだら、うとうとしていると、おじいさんがどこからか帰って来たので、では改めて出発!となった。

 

 

ヒッチハイクでするレース、略してヒッチレース

数年前住んでいた学生寮の企画で「ヒッチレース」というものがあった。紙とペンだけを持たされて、車でどこかに連れて行かれ、降ろされたところからヒッチハイクして寮に帰ってくるというレースだ。ただ、一番早く帰って来た人が優勝ではない。帰ってくるまでの過程をどれだけ楽しめたかどうかというのが判定基準なのである。参加者全員が寮に戻ってくると大宴会が開かれ、そこでレース中の様々な出来事を一人ずつ語っていき、最後に優勝者を決める。僕の寮に関する思い出の中で一番印象に残っている出来事である。

 

確か6月の寮祭期間中の深夜、僕を含め3人を乗せた車が寮を出発した。アイマスクが用意され、外の景色は見ないように言われる。車はどんどん距離を稼いでいく。僕たちは何もできず、ただ車の中でうとうとするだけだった。早朝、周りが少し明るくなって来た頃に、車が止まり、一人が降ろされ、その1時間後くらいにまた一人が降ろされる。車の外がかなり明るくなったタイミングで、僕が降ろされた。じゃあ、頑張って帰って来てね。とだけ軽く言われた。

 

田舎すぎるほど田舎ではないが、コンビニなどはなさそうだった。近くに盛り上がった小さな岡みたいな場所があるので、そこに行ってみると、大きな石碑とその周りにのぼりが立っていた。石碑を見てみると、「関ヶ原古戦場」と記されていた。なるほど。関ヶ原か。と思ったが、脳内マップには全くピンは立たなかった。とにかく歩いてみるしかないと思い、古戦場はほどほどにして、辺りを散策した。とりあえず大きな道路に出ようと15分程度歩く。まだまだこの企画は始まったばかりで、高揚感を感じていた。しばらく歩くと、車がちらほら走っている道路に出た。その道を散歩しているおじさんに「京都へ行きたいんですけど、どう行ったらいいですかね。」と声をかけた。

 

つづく

朝と晩に椅子を動かして6000円

大学のオーケストラに所属していたので、近くのコンサートホールで派遣バイトをすることがあった。

毎年、秋に海外からオーケストラが来ると、バイト斡旋の連絡が回って来る。舞台バイトの仕事ということだったので、ステージマネージャーに指示を受けながら、舞台上の椅子や譜面台をセッティングするのを想像していたのだが、当日の朝、偉いおじさんに言われたのが、「今日は椅子を動かすだけね。」ということだった。

客席の一箇所を車椅子席にするため、床と椅子を固定するネジを外し、転がして倉庫に持って行くだけの仕事だった。午前中に、椅子を外して倉庫へしまい、公演終了後、倉庫から椅子を出して、元あった位置に固定し直すだけの仕事だった。それでお給料は午前と午後で3000円ずつ、計6000円だった。楽ちんすぎる仕事だった。

これには訳があって、海外オケだろうと、客席の椅子を勝手に動かすことはできないルールになっていて、その際にはコンサートホールから人員を雇わないといけないそうだ。なんともせこいルールである。ただ、地域の小さな公民館にもこういったせせこましい規則はよくあって、ちょっと何かを動かしてもらうだけで、人員一人追加して27000円くらい取られた。

ただ、最近ではコンサートホール側も、20分くらいに3000円払うのがもったいないと思ったようで、椅子を動かした後、搬入口に入って、楽器をステージ上に持って入ったり、別の公演のための仕込み作業を手伝ったりさせられるようになった。それでも2時間くらいのバイトだったので、貧乏学生にとっては充分だった。

 

6月のベストフード

せっかく夜な夜な飲み歩いたりしているので、こんな風にまとめるのもいいかなと思った。今月のベストフードということで、六月に食べて美味しかったもの単品で紹介しようと思う。評価基準は、食べた時の驚きです。

 

ホソ焼き(アジェ/松原)6月6日

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これは、京都ではかなり有名なアジェという焼肉屋で食べた時の写真。内装は韓国の焼肉屋のような感じではあるが、非常に活気にあふれていた。壁にかけられた短冊から選んで注文し、テーブルの上のコンロで焼くスタイル。このホソというホルモン、しっかり目に焼いて、口の中に放り込むと、ジュワッとまろやかに溶け出して、最高な口体験ができる。年寄りには油っぽくてキツイのかもしれないが、僕の年なら何個でも食べれると思った。これだけを食べに再訪してもいい。

 

燻りがっこクリームチーズのせ(またもや/三条木屋町)6月14日

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これは、三条木屋町といっていいのか、先斗町を出たところにある日本酒バーで撮った写真。ずんどう屋というラーメン屋の上にあるお店。雰囲気が素晴らしく、ソファーがふかふかなので、飲み歩きの最後の行くには持ってつけの場所。ただ、日本酒は高めな設定なので、ガブガブ飲む場所ではない。そこで出てきたのがこの、燻りがっこクリームチーズのせである。燻りがっことは、塩辛い沢庵をしっかりとスモークしたもので、日本酒にとてつもなく相性が良い。さらにクリームチーズも乗っているものだから、最高のアテである。鯖のへしこに並んで、日本酒を盗んでくるフードである。

 

特選ロースカツ定食(やまなか/河原町丸太町)6月25日

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これは、大学に入った時から行きたいと思いつつも、敷居が高そうでチャレンジできなかったお店。お店の前に金色の豚の置物が置いてある。二条河原町を北に上ったところにある、とんかつ処やまなかというお店。特選ロースとなるとやはりそこそこな価格はするのだけども、それ相応、むしろそれを超えてくるくらいの美味しさである。肉はなんとか産のもち豚を使っているそうで、注文が入るたびに油を新しくして揚げてくれる。しっかりとした歯ごたえで、肉の旨味がジュワーっと広がり、ああ、うまい肉を食べているなあという気分にさせてくれる。さらに、香り立つお米も美味しいので、すぐに食べ終わってしまって、悲しい気分になった。

 

カヌレカヌレ/二条河原町)6月25日

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これも昔から行きたかったが、タイミングを逃して行けなかったお店。二条河原町の交差点の北西にあるビルに入っている、カヌレというカヌレのお店。名に恥じないクオリティー。外はキャラメリゼされていてパリッとした食感なのだけど、中はしっとりジュワッとしたスポンジが入っている。コーヒーと共に食したが、これはワインやウイスキーにも合うだろうな。お店の雰囲気も抜群で、二人がけのソファーからはミニ夜景が見えたり、カウンターもおしゃれで、行った時はおしゃれな30歳くらいの男と、綺麗な女の人が座っていた。「カヌレ食べない?」と軽く誘って、一緒にお酒を飲んじゃうやり方もできそう。遅くまでやっているので、三条あたりで飲んだ後、落ち着きにくるには最高のロケーションである。

 

 

というわけで、以上。来月もまとめてみたい。

 

発掘ワークショップ

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ちょうど一年前の今くらいの時期に、ジョージア(昔はグルジアと呼ばれていました)という国で開かれた古人類学ワークショップに一ヶ月間参加しました。

 

一日の流れを軽く説明します。まず、朝8時に旧ソ連の軍用トラックに乗り込みドナドナ状態で発掘サイトに向かいます。つい最近ジョージア旧ソ連から独立したので、国中に旧ソの残り物があるのです。ちなみに、このトラックはオイル漏れのせいで、非人道的な匂いがして、朝からブルーな気分になります。

 

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発掘サイトに着くと、ラテンノリの陽気なおばちゃんからその日の担当区分が割り当てられ、その場所を数センチずつ均等に削っていくという単調な作業です。カナヅチで土をトントンと叩いて、骨のようなものが出てきたら慎重に周りの土を削り、その骨を浮かし彫りにするイメージです。毎日この作業をしているので、右手だけがマッチョになりました。

 

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途中、ランチ休憩(パンとハムとトマトとキュウリ)を挟み、16時まで発掘を続けます。発掘が終わると、再びドナドナ状態でキャンプに戻り、一旦シャワーを浴びて、18時から人類学関連分野の講義を受けます。一括りに人類学と言っても、形態人類学、骨学、古人類学、歴史学、地質学、保全学、考古学など様々な学問が関わってきます。この発掘サイトに関わっている教授陣がリレー講義をしてくれました。「旧人類の石器を作ってみよう!」というワークショップもあり、随分と楽しめました。

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講義が終わった後、夜ご飯を食べたら、24時までは自由な時間です。ジョージアはワイン発祥の地でもあるので、後半になると毎晩、白ワインかチャチャという葡萄蒸留酒(イタリアのグラッパみたいな物)を飲みながら、ジョージアの政治の話や発掘よもやま話など様々なテーマで語らいました。ちなみに、日本では飲み会の〆はラーメンと相場が決まっているように、ここではケバブサンドを〆に作って食べます。f:id:AlexanDer:20170701194355j:plain

こんな具合で一日が終わり、次の日の朝にはドナドナと発掘サイトに向かう一ヶ月でした。同じ参加者であるアメリカ人、イギリス人、オーストラリア人、ブラジル人、アフリカ人、ジョージア人に囲まれ、オールイングリッシュで過ごしましたが、今までの人生でこれほどまでに英語を勉強してよかったと思うことはなかったです。

 

さて、空港でクーデターに巻き込まれるリアルに恐ろしい事件や、キャンプからブラジル人が逃げ出したりする珍騒動など様々なことがありました。まだまだ語りきれないですが、とりあえずはここまでにします。

育ちの良い人

新幹線で東京から京都へ向かっていた時の話。

土曜の昼下がりで混雑はしていたが、自由席のアルファベットDEの窓側に座っていた。富士山が見える方の席である。就活で何度も新幹線に乗っているため、富士山が見えるからといって、昔のようには喜べないようになってしまった。ああ、富士山が見えるんだ。くらいのテンションである。

 

品川駅に到着すると、ドバーッと乗客が入ってきて、周りの席がどんどん埋まっていく。おっさんとかが横に座ってきたら、気分のいいものじゃないなと思っていると、抜群に可愛い女の子が横に座ってきた。ぱっと見20も行ってないくらいで、モデルのようにほっそりした手足、整った顔面のパーツ、シンプルだが決して田舎臭くはない服装をしていた。いつもみたいに汚いおっさんが座ってくると思い込んでいたので、突然の美人の到着に緊張しつつも、大したことはないぞというそぶりで大人しくスマホをいじったり、読書をしたりしていた。

 

暫くたつと、女の子がこっちをやたらとチラチラ見てくることに気づいた。最初、知り合いか何かかと思ったが、そうではなく、次に、こっちに気があるのかなと思ったが、そうでもなく、窓の外の景色に興味があるようだ。どうやら新幹線初心者のようである。いやー、微笑ましいなーとか思って見守っていると、その子は通りかかった車掌さんを呼び止め、こう言った。「すみません。富士山はいつ頃見えますか。」

 

こんな純粋な質問をする女の子が他にいるだろうか。普通の女の子となら、疑問に思った瞬間にグーグル先生に聞いておしまいにするところを、わざわざ車掌さんに聞くところが、ピュアすぎる。今まで人間の汚い部分を見たことがないのだろう。そして、そんな女の子が初めて富士山を見る瞬間に立ち会えるということ。僕は心が躍った。

 

後10分くらいで見えると言われた女の子がしきりに窓の外を眺めるので、僕は思い切って声をかけた。

「席代わりましょうか?」

「大丈夫です。向こうで見ますので」と言って、デッキの方を指差した。

「なら大丈夫ですけど。」

 

新幹線が三島駅に近づいた頃、その子も席を立ち、大きめのスマホを持ってデッキへと歩いていった。そこまで来ると僕も富士山をがっつり見てやろうという気分になって、窓の外をしっかりと眺めていた。富士山がぼんやりと見えてきたのだが、曇り空で、綺麗な裾は隠れてしまって、頂上の一部しかはっきりと確認できなかった。あれだけ楽しそうにしていたのになと、少しブルーな気持ちになっていたところ、その子が戻ってきた。

「写真撮れました?」

「頂上しか映りませんでした」

「曇ってて残念でしたね」

「いえいえ、見れただけでも良かったです。」

こんな会話をしながら、新幹線はどんどん西に向かっていった。

 

間も無く京都駅だというアナウンスで、周りの乗客がぞわぞわし始め、彼女もすっと立ち上がり、荷物棚から大きなカバンを取り出した。そして、急に満面の笑みになったかと思うと、こちらに向かって、「お席の御気遣い頂きありがとうございました。」とスッキリとした声で言い放った。僕はびっくりしてしまった。こんな丁寧な言葉遣いができるのか!と思って、とても感動して、育ちの良さにガツンと当てられてしまった。この子はこれからどういう人間になるのかは分からないが、幸せな人生を歩んでいくに違いないと確信した。

 

ああ、名前だけでも聞いていたらなあ。