いや、違う。これは本好きが行く場所ではない。
泊まれる本屋こと「BOOK AND BED TOKYO」の京都店に行ってきた。
立地は南座の向かい、北座の東側にあり、京阪祇園四条駅の出口から3分もかからない場所にある。
京都に7年間もいると、大体の観光地は行き尽すので、もう今日は歩き回らずに、どこかでだらだらと休憩したいという気持ちになることがある。そんな時、僕はいつも三条河原町にあるネカフェに行って、3時間ほど漫画や雑誌を読む。
そんな気持ちになった時、ネットで話題になっていた場所があったことを思い出した。
15時過ぎにお店に到着した。2時間分1000円を払い、一通りの説明を聞いて、店内に入った。
中央に大きな本棚があり、そのところどころに穴ぐらのような空間があり、宿泊者はそこに入って、寝落ちするまで本を読むことができるらしい。
天井からは間接照明と共に、大量の本がぶら下げられている。本棚の周りにはしっかりとしたソファーで囲まれていて、ソファーにはふかふかのクッションが並べられている。
空いてるソファーに座ってくださいと言われたので、探していると、店中にいわゆるサブカル的なファッションをした女子が一眼レフやiPhoneで写真を撮りまくっていることに気づく。
もうそれは撮影スタジオのようで、サブカル女子たちが延々と自撮りを続ける、最近できた新しい地獄のようだった。
内装がとてもおしゃれで見たことないデザインなので、写真を撮りたくなるのも分かる。僕も実際何枚も取っている。
ただ、彼女らは我が物顔で店内を闊歩し、道を封鎖して写真を撮り続ける。床にiPhoneを置いて取ってみたり、大判の本を使ってポージングしてみたり、棚に一眼レフを置いて、遠隔操作で自撮りしてみたり。。。
写真に対する情熱はひしひしと伝わってくる。
だけど、ここってなんのための場所だっけ。と思ってしまう。
若い女の子がSNSで写真を投稿すると、多くの人がそれを見て、お店を訪れる。広告費も抑えることができる。最近のインスタブームに応じた美味いやり方だと思う。
ちなみに、お会計はクレジットカードか交通系ICカードオンリーで、キッズたちに荒らされないように配慮しているのだろう。
だからこそ、落ち着いて本を読みに来た人が迷惑を被るような写真好きを野放しにしているのは、コンセプトからずれているように感じた。
端的に言えば少しイライラしてしまった訳なのだ。
ただ、本が売れない現実を考えると、本をファッションアイテムのように消費する流れも分からなくはない。本なんて人生のおやつみたいなものなので、表紙のデザインだけでジャケ買いしたりする楽しみ方も普通に考えられる。
本屋や図書館もおしゃれにリノベーションされたりして、絶対に届かないような高さの本の壁を作ったりするのも流行っている。今までの業界が古すぎたのかもしれない。
本が好きだからおしゃれな本屋に行く層、おしゃれが好きだからおしゃれな本屋にいく層を同じ空間に集めてしまったのが原因なのでしょう。