毎日の文トレ

日々感じたことや考えたことを書き殴ります。

スピード因果応報

ある時、飲んだ帰りに交差点で前を歩いていた男がスマホを落とした。

シラフなら「落としましたよ」と声をかけるのだが、これをどこかに隠してしまおうといういたずら心が沸き起こった。何とも酷い話なんだけども。

それを持って帰って、友達の家の押入れの奥に押し込んだ。

 

その後に、友達がそれを発見し、自分ではこんなスマホ持ってきた記憶もないので、大変驚き、自分が怖くなったと報告を受けた。まあ、怖いよね。押入れ見たら、iPhoneが出てきて、電源を入れると、知らないカップルの写真が出てくるわけだから。

 

その友達がiPhoneを見つけた数日後、僕と彼と、僕の女友達で飲みに行った。

その席で、僕の友達にこの一連の話を伝えると、さっきまで一緒にバカみたいな話をしていたのに、「そういうものは、回り回ってくるんだよ。」と急にお母さんのような、スピリチュアルな話をされて、その時はまさかまさかと話半分にからかいながら聞いていた。

 

許容量の7割くらい酔った後、友達の家に帰り、倒れるように寝た。

次の日の朝、友達は朝早くからバイトがあるといって、いつものように鍵を置いて先に出ていった。

僕はその日、昼から用事があったので、少しゆっくりして起きた時に、友達からラインが入った。「お前の財布、昨日の晩に俺のリュックに入れたままで、そのまま持ってきてしまった!どうしよ!」

 

はっと思い出した。昨日の夜、カバンを持ち歩くのが嫌だったので、友達のリュックに財布を入れてくれと頼んだんだった。冷や汗が出て、混乱した。

 

取りに行くにも、財布がないので、電車賃が払えない。タクシーに乗ったとして、この状況を説明して、乗せてくれるのか。かなり高くつきそう。しかも友達は、最近できたおしゃれ商業ビルの地下で散髪中。家の中に、へそくりもないらしく、絶体絶命。しかも用事も間に合うかどうかの微妙なタイミング。

 

導き出した答えは、「家にあるいらないプレステのソフトを近くのブックオフで売って、電車賃に変える」ことだった。

 

急いで家を出て、駅前のブックオフにライフイズストレンジというソフトを持っていた。10分もかからないうちに、計算が終わり、1700円を受け取った。そのあとは、無事に美容室に到着し、財布を受け取った。受付にいた女の人に、事の経緯を伝えるのが非常に恥ずかしかった。ついでに持ってきてと言われた、汚らしい黒ズボンを渡すのも、ちょっと躊躇した。そして、用事にはしっかりと遅刻してしまった訳だ。

 

これぞ、スピード因果応報。ザ・因果応報 いや、ジ・因果応報。

 

悪くことはするもんじゃないなと思った出来事だった。