毎日の文トレ

日々感じたことや考えたことを書き殴ります。

朝と晩に椅子を動かして6000円

大学のオーケストラに所属していたので、近くのコンサートホールで派遣バイトをすることがあった。

毎年、秋に海外からオーケストラが来ると、バイト斡旋の連絡が回って来る。舞台バイトの仕事ということだったので、ステージマネージャーに指示を受けながら、舞台上の椅子や譜面台をセッティングするのを想像していたのだが、当日の朝、偉いおじさんに言われたのが、「今日は椅子を動かすだけね。」ということだった。

客席の一箇所を車椅子席にするため、床と椅子を固定するネジを外し、転がして倉庫に持って行くだけの仕事だった。午前中に、椅子を外して倉庫へしまい、公演終了後、倉庫から椅子を出して、元あった位置に固定し直すだけの仕事だった。それでお給料は午前と午後で3000円ずつ、計6000円だった。楽ちんすぎる仕事だった。

これには訳があって、海外オケだろうと、客席の椅子を勝手に動かすことはできないルールになっていて、その際にはコンサートホールから人員を雇わないといけないそうだ。なんともせこいルールである。ただ、地域の小さな公民館にもこういったせせこましい規則はよくあって、ちょっと何かを動かしてもらうだけで、人員一人追加して27000円くらい取られた。

ただ、最近ではコンサートホール側も、20分くらいに3000円払うのがもったいないと思ったようで、椅子を動かした後、搬入口に入って、楽器をステージ上に持って入ったり、別の公演のための仕込み作業を手伝ったりさせられるようになった。それでも2時間くらいのバイトだったので、貧乏学生にとっては充分だった。