毎日の文トレ

日々感じたことや考えたことを書き殴ります。

ヒッチハイクでするレース、略してヒッチレース

数年前住んでいた学生寮の企画で「ヒッチレース」というものがあった。紙とペンだけを持たされて、車でどこかに連れて行かれ、降ろされたところからヒッチハイクして寮に帰ってくるというレースだ。ただ、一番早く帰って来た人が優勝ではない。帰ってくるまでの過程をどれだけ楽しめたかどうかというのが判定基準なのである。参加者全員が寮に戻ってくると大宴会が開かれ、そこでレース中の様々な出来事を一人ずつ語っていき、最後に優勝者を決める。僕の寮に関する思い出の中で一番印象に残っている出来事である。

 

確か6月の寮祭期間中の深夜、僕を含め3人を乗せた車が寮を出発した。アイマスクが用意され、外の景色は見ないように言われる。車はどんどん距離を稼いでいく。僕たちは何もできず、ただ車の中でうとうとするだけだった。早朝、周りが少し明るくなって来た頃に、車が止まり、一人が降ろされ、その1時間後くらいにまた一人が降ろされる。車の外がかなり明るくなったタイミングで、僕が降ろされた。じゃあ、頑張って帰って来てね。とだけ軽く言われた。

 

田舎すぎるほど田舎ではないが、コンビニなどはなさそうだった。近くに盛り上がった小さな岡みたいな場所があるので、そこに行ってみると、大きな石碑とその周りにのぼりが立っていた。石碑を見てみると、「関ヶ原古戦場」と記されていた。なるほど。関ヶ原か。と思ったが、脳内マップには全くピンは立たなかった。とにかく歩いてみるしかないと思い、古戦場はほどほどにして、辺りを散策した。とりあえず大きな道路に出ようと15分程度歩く。まだまだこの企画は始まったばかりで、高揚感を感じていた。しばらく歩くと、車がちらほら走っている道路に出た。その道を散歩しているおじさんに「京都へ行きたいんですけど、どう行ったらいいですかね。」と声をかけた。

 

つづく