毎日の文トレ

日々感じたことや考えたことを書き殴ります。

ヒッチレース第5章

さて、ヤンキーに声をかけると意外と好感触。

運転席に座っていた、車内で一番ヒエラルキーが高そうな男が、「俺ら暇だし、面白そうだから、乗せてやるよ」と言ってくれた。車に乗り込むと、思わず笑ってしまった。中の壁紙が全てヴィトン柄だったからだ。典型的な田舎のヤンキーの車である。彼らはとにかく高速の入り口近くで、よく大型バスが止まっているコンビニまで乗せてくれると言う。なんでこんなことしてるの?みたいな会話から、そういえば今何してる人なの?と聞かれたので、「大学生です。京大です。」と答えた。しかし、向こうからの反応は薄い。運転手のヤンキーは「京大?誰か知ってる? すごいの?」と後ろに尋ねる。後ろも、なんか聞いたことある。くらいの返事で、食いつきはなかった。

僕は、嬉しくなった。京大を知らないレベルのヤンキーと今仲良く話して、車に乗せてもらっている。ヒッチハイクすげー。大垣のヤンキーすげー。大学にいては絶対に会えないような人に出会えたことで、とてもテンションが上がった。まあ、そうだよな。京大にいて、京大が何か知らない人なんていない訳である。

 

そのあと、お金は持っていないという話になると、後ろの兄ちゃんから1000円札一枚をもらう。曰く、競馬ブルだとそうで、前の日に一山当てたので、調子乗っているらしい。ありがたくいただく。そういや、何歳なんですか?という話になり、なんと同い年だと発覚した。なんという偶然。すぐにmixiを交換した。知らない人のために言っておくが、mixiは今のFacebookがはやる前に日本で盛んであったSNSである。

 

そんなこんなでコンビニに着くとヤンキーはさらに優しい言葉をかけてくれた。「もし、トラックの運ちゃんが捕まらんかったら、最悪俺らで京都まで送ったるわ。」

もう神か。どんだけ優しいんだ。と感動した。駐車場で京都ナンバーのトラックの運ちゃんに声をかけて回ると、二人目で乗せてくれる人が見つかった。ヤンキーたちに、感謝を伝え、トラックに乗り込む。

 

つづく