毎日の文トレ

日々感じたことや考えたことを書き殴ります。

人生初の結婚式

「明日結婚式あるんだけど、来れない?」

 

喫茶店でコーヒーを飲んでると、知り合いからそんな電話が掛かってきた。

「もちろん、行きます」と即答した。そのあと、場所と時間、当日の名前、新郎との関係性などが送られてきた。

 

そう。結婚式に参加して、新郎新婦を祝って、盛り上げるバイトの斡旋だ。以前から興味があり、その知り合いに頼んでい他のだ。まず何と言っても、報酬が良い。そこそこの額(もちろん、交通費は別)がもらえるだけでなく、美味しいご飯とお酒が楽しめて、引き出物までもらえる。ぼくがもらったのは、クッキー、バームクーヘン、カップスープ盛り合わせ、さらに自分で注文できるカタログギフトだった。当たり前だが、御祝儀を出す必要はなく、御祝儀用の封筒をそのまま提出するだけだ。

 

その日の夜に明日の設定が送られてくる。名前、関係性、性格などざっくりしている。あとは当日上手いことやってくれと言っているかのようだ。性格に関して難しめな設定を与えられたので、困ってしまった。ボロを出さないようにしなければ。

 

当日会場入りする時にはベテランの方に連絡を取るように言われていた。会ってみると、出来すぎたくらいイケイケ感溢れる30後半くらいの男性で、リラックスして的なことを言われた。向こうにいるチャラい男も同志だから話しかけるといいよ。とだけ言われて去って言った。もう会場入りしてしまっているから、本当にボロを出してはいけない。そういうプレッシャーのせいで二回失敗した。

 

同志たちが集まっているスペースに行く途中、段差に気づかずズッコケて胸ポケットに入れていたiPhoneを発射してしまう。そのあと、テーブルに行き、どう話しかけようかと思って、パニクった挙句、「〇〇(本名)の××(設定名)です。」というよく分からない自己紹介の後に、さらに追い討ちをかけて、「あ、あ、あ・・の・・バイトの・・・」と禁断のワードを出してしまった。同志たちは慣れているのか華麗にスルーしてくれたのだが、内心こいつはやばいと思ったに違いない。

 

そのあとは普通の結婚式(知らないけど)の流れで進んだのだが、問題が起こったのは披露宴の途中である。

 

ビデオクルーが急に席に現れて、新郎新婦にビデオメッセージを取るので一人一言ずつコメントをください。と言い出した。いや、ちょっとまて、聞いてない。業務内容に入ってなかったぞ。別料金発生するぞ。表面上は和やかな感じだが、心の中は荒れ狂っていた。やばい。やばすぎる。そもそも新郎新婦の名前なんだっけ。何話そう。本当にこの時はテンパった。ただ、他のベテランたちはこんなこと日常茶飯事ですけど?みたいな感じで、サクサクとコメントし終わった。まだまとまらないので、と後回しし続けた結果、最後のトリになってしまった。「なんとか(新郎の下の名前)、かんとか(新婦の下の名前)さん結婚おめでとう。電通鬼十則にこんな言葉があります・・・」という分かるような分からないようなコメントをしてしまった。フリーズしかけて、口からでまかせを吐いていた記憶はある。

 

こんな感じで一番の山場を迎え、ウェディングケーキを食べる段になった。新郎新婦の友人も交えてケーキカットをすることになり、数人がランダムで選ばれた。その中には同志もいて、どんな気持ちで知らん人のウェディングケーキを満面の笑みで切っているだろうと思った。

 

これは、罪悪感を金に変える仕事だなと思った。慣れたら楽しいはずだけど、ナイーブな僕には少し疲れすぎる仕事だった。ただ、飲み会などでこの話をすると100%引きがあるので、とても感謝している。

 

とりあえず今日は以上。